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国道16号第8話 少年とアタッチメントシティ
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![]() 少年 少年の朝は頭探しから始まる。
何時からこうなってしまったのか、犬の漠然とした記憶では定かで無い。しかし一つ言える事は自分には頭が無く、そして自分は頭を見付けたいと思っているということだ。
さらにどうやらここには沢山の頭があり、犬の頭もかなりありそうだと言うことだ。 頭がないと言う事は犬としてかなりの不自由を強いられる。犬にとっての唯一と言っていい感覚器官嗅覚は封じられ、濡れた鼻で風を感じる事も無く、熱いときには舌を出して熱を逃がすこともできない、その悲しみを遠吠えで表現しようとしても口がないのでダイレクトに吠えることもままならないのだ。こうあっては一刻も早く頭を見付けるしかない。 しかし悲しいことに犬の漠然とした記憶ではどの頭を試したのかすぐに忘れてしまうのだ。 こうして犬は毎日同じ頭を試し続けている。
彼女がこの街に来てどれぐらいたったのだろうか、始めて彼女が鳥に頭を奪われたとき、彼女はその悲しみの余り自の命を絶とうとまで考えた。しかし今の彼女はむしろこの境遇を気に入ってさえいた。 今、彼女の探している頭は自分の頭ではなく、拒否反応の低い頭でありその様な頭を沢山探していた。 頭が他人の物である以上当然拒否反応が現れる、痒くなってしまうのだ。しかし年齢や性別など自分に近ければ近いほど拒否反応は弱くなる。そこで彼女は自分と拒絶反応がほとんどない頭を見付けては取り替えて様々な顔を楽しんでいるのだ。 今、彼女の夢は飛びきり美人の拒絶反応ない頭を見付ける事だった。
けれど彼らに会う頭は一つもなかった。何故なら元々彼らの頭は存在していないのだ。 けれども彼らはあきらめず頭を集め続けた。やがて頭の捨て場は膨大な数の世界中の頭がたまり始めた。そして何時しかその頭捨て場の噂を聞いた、鳥に頭を奪われた頭難民達が集まり頭を探すために住み着き始めた。そしてそれは街になり、人々は頭こそないがそれなりの生活を送って行った。 この街は今、アタッチメントシティと呼ばれ無頭人の街として奇妙な畏怖の念を与えつ続けている。 そして鳥達は今も決して存在する事のない自らの頭を探し旅を続けている。
自転車は乗り手の体内の熱エネルギーを唯一の動力として動く、そこにはある種の混じりけのない純粋な力の関係、乗り手と自転車の明確な役割の構図がある。それは頭と体の関係に良く似ていると言えよう。 ただ一つ違う事は自転車は勝手には動かないが、ここでは体は頭を探して勝手に動き回ると言うことだ、この時自転車と乗り手、頭と体の関係は逆転する。 何時の時か自転車が乗り手を探して街を走り回る時が来るかも知れない。その時我々は自転車という移動手段でどのような思考活動を行うことが出来るのだろうか。 その答えはアタッチメントシティに隠されているのではないかと思う。
この街ではあらゆる所に頭が存在する。その数は膨大で誰も総数を正確につかんだ事はない。 ある調査員が穴を掘ったところ地下にも無数の頭が埋まっていることが解った。その深さと地層から判断すると三千年以上前から鳥は頭を奪いこの場所に捨て続けてけていたことが解る。 頭には大きく分けて耳から顔までの顔形と首か上の首形の二種類に分類される。何故この二種類になるのか詳しい事は解らないが一説によれば雄の鳥に取られると首形、雌の鳥に取られると顔形になると言われているが確認されたわけでない(そもそも鳥が何時どの様に頭を取るのかさえ謎なのだ)。 体から取れた頭は眠りつ続ける(ごく希に寝言を言う頭があるがとても気味が悪いものだ)。頭は眠ってはいるが体とともに成長し老いて体の死と同時に死を迎える。 このように未だにアタッチメントシティの頭は調査がほとんどなされていないのだ。 とにかく体達が一刻でも速く自分の頭を見付けてほしいと思うばかりだ。 |
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