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アバロン島
グレートブリテン島から北西に存在する謎の島
周囲を深い霧に覆われ容易にたどり着く事は出来ない
噂によると多数の巨大な獣「怪獣」が暮らしているという


「アバロン島探検譚」について

私がその本に出会ったのは1年前だ。私はいつものように神保町の古本屋巡りを楽しんでいた。そしてふと入った古本屋「今泉」でその本に出会ったのだ。「アバロン島探検譚」・・・恐ろしく古びたその書物。著者はベックフォード三世、訳者は間宮森蔵とあった。ベックフォードと言えば世界に名だたる奇書「ヴァテック」の著者だ、その三世と言うのだから怪しいことこの上ない。さらに「東韃地方紀行」の間宮林蔵に酷似した名の間宮森蔵が訳者と言うのだからこれは眉唾間違いなしだろう。しかしその本から発する異様なオーラに否応なく引きつけられた私はその本を購入し家に持ち帰ったのだ。そしてというかやはりというかその内容は驚くべき物だった。
ベックフォード三世のやや大げさな文体よってなされる奇怪な探検記、以下は「アバロン島探検譚」の粗筋である。

 1854年博物学者であり探検家でもあったベックフォード三世はアーサー王が死んだという伝説の島「アバロン」を発見しアーサー王の墓を調査するため航海に出た。グレートブリテン島から北西に船を進めること一週間。船の回りを濃密な霧(東方の最高級シルクの様な濃密な霧と描写している)が包んだ。これを待っていたとばかりにベックフォード三世は助手の間宮森蔵に一振りの古びた剣を掲げさせる。なみにこの助手の間宮森蔵とは以前、太平洋でのムー大陸捜索(未発見に終わったようだ)で漂流している所を助けた日本人だそうだ、それ以来有能な助手として様々な探検を共にして来たらしい。話は戻ってその古びた剣「聖剣カリバーン」(エクスカリバーのことらしい)を間宮森蔵が掲げると霧が一筋の道のように晴れその先に大きな島が現れた。その島こそ伝説の島「アバロン」だっだ。剣に導かれるように上陸した探検隊は島の様子に愕然とする、グレートブリテン島の北西に位置するはずの島がまるで亜熱帯地方の島にように蒸し熱かったのだ。そしてさらに驚くべき事をベックフォード三世は記している。
「そして私は見てしまったのだ、この島の驚異を、この島の真実を。この島にはあまりに巨大な生き物が住んでいる、今私たちの目の前を地面を揺らしながら悠然と闊歩するその鳥のような生き物は優に30ヤード(27メートル)もあろうか。さらにカエル、亀、牛、全てが巨大で恐ろしく奇妙な姿だ、私はそれらを奇怪な獣「怪獣」と名付けた。これより私は博物学者の観点からこの島の全てを書き記しておこうと思う、その名も「アバロン島探検譚」として」
その後この本は彼の言う「怪獣」の奇妙な生態や原住民との遭遇(その内の一人ボンガとは生涯の友になったらしい)巨大遺跡の発見などが刻銘に綴られている。
はたしてこの本は何であろうか?なんと奇妙な話だろう、真実とは思えない、しかしこの異様な魅力は何だろう私は一人の画家としてこれからこの本に出てくる「怪獣」を絵で再現したいと思う。何故なら私自身がすでにアバロン島に取り憑かれてしまったからだ。

 一つ残念なのはこの本はどうやら続きがあるらしいのだ。ベックフォード三世あまりにも刻銘にこの島の生態を記しているため、まったくアーサー王の墓の話が出てこない、まるで忘れてしまったかのように。どうやらベックフォード三世は本来、探検家というより博物学者なのだろう、この島の魅力に取り憑かれて本来の目的など二の次になってしまったようだ。この本の最後も海岸に住む蟹と藻の共生関係についてやや大げさに記しているだけだ。はたしてベックフォード三世はこの後どうなったのだろう?アーサー王の墓は見つかったのだろうか?無事ロンドンに帰れたのだろうか?疑問はつきない。しかしそれは皆さんのご想像にお任せしよう。私はただ絵を描くだけだ。
なおこの島の象徴とも言える伝説巨鳥「パボラス」はオリジナルソフビメーカーモンストックの協力のもと立体化に成功している。今後も機会があれば立体化に協力してもらおうと思っている。

アバロン島

東方の最高級シルクの様な濃密な霧が晴れると巨大な火山島が姿を現した。アーサー王の眠ると言われる伝説の島アバロン島だ。霧によって長きに渡り外界から遮断されてきたこの島はグレートブリテン島の北西に位置するにも関わらず亜熱帯地方の島にように蒸し熱い。面積はその大半が今も未開地のためではっきりした事は分からないがその稜線から非常に大きいことが予想される。島の中央にはシンボルでもある霊山ガガドール山がそびえる。この山は現在も活発に活動中の火山でありながら頂上付近は永久凍土に覆われている。島の大半を覆う森は亜熱帯雨林でそこに生える植物は一様に巨大だ。森の中には実に多様な生物が棲息しているがその全ては他の世界では見られない固有種で特に私が怪獣と名付けた巨獣が多数棲息している。怪獣はその種類、生態共に際だって怪奇でこの島の神秘性を象徴する生物だ。島の地形は岩場や砂漠、河や湖など変化にとみそれぞれ独自の怪獣が棲息している。
島唯一の原住民ガンボ族南部のジャングル沿いに村を作り慎ましく生活している、純真で人を疑うことを知らない人々だ。
島には巨大な遺跡が多数存在しておりこの島にはかつてガンボ族とは別の高度な文明を持った古代人が存在した事を証明している。
この島のもう一つの象徴である巨顔遺跡モアイロボは島の随所に頭部のみ出した常態で埋められているがこれも古代人の生み出した物のようだ。このモアイロボは地中に体が存在しており刺激をあたえると這い出して動き回る。その構造は不明だがどれほど古代人は高度な技術を持っていたのだろうか興味は尽きない。まさに全てが謎の島だ。私はついに発見したこの島でこれから生涯最も貴重な体験をすることになるだろう。

「アバロン島探険譚」第一章十項より 



ベックフォード三世

私の名前はベックフォード三世、博物学者であり探検家だ。
私は今まで強靱な意志と豊富な知識、高い身体能力を武器に常に冷静沈着にあらゆる危機を乗り越えて世界中の未開地で探検を繰り広げて来た。私の探検のおかげで名門ベックフォード家の膨大な財産はほとんど無くなってしまったが人類が未だ知らぬ世界を発見出来たと思えば安い物だろう。特技は射撃で愛用のライフル銃リー・エンフィールドカスタムには何度も命を救われている。私の口癖は「私を呼んだのは君か」だ、そして虫であろうが怪獣であろうと新しい何かに出会うと鬼気として調査を開始しまうのが唯一の欠点だと言える。

「アバロン島探険譚」第一章一項より



間宮森蔵

間宮森蔵は私の優秀な助手だ。残念ながら失敗に終わった太平洋でのムー大陸捜索で太平洋上を航行中、漂流している彼を助けた。それ以来彼は私の助手として様々な探検を共にして来た。何故漂流していたのかと言うとアメリカを目指して手製の筏で単身海に乗り出したという。このように勇気と無謀をはき違えたような性格の男だが、その振り返らない力が困難を突破し探検隊を窮地から救った事も多々ある。口癖は「さあ行きましょう!」でよく寄り道をする私を無理矢理引きずっていくのだが何故か私はこの男を憎めないでいる。

「アバロン島探険譚」第十二章三十三項より



ボンガ

ボンガはアバロン島の原住民ガンボ族の若き戦士だ。外界と完全に遮断されたこの島でボンガは私たち探検隊と出会うまで全く他の人間を知らなかった。しかし元来ガンボ族は純真で人を疑うことを知らない人々であるから、ボンガも私と出会うとすぐに心からの友人になった。そして島の案内人として探検隊に参加してくれる事になったのだ。今や彼の豊富な島の知識と先祖伝来のヤリは危険な島の探索に無くてはならない存在だ。
そして彼の純粋な瞳と笑顔は我々をいつも和ませてくれる。

「アバロン島探険譚」第十四章十五項より


パボラス

アバロン島を代表する怪獣と言えばパボラスであろう。巨大な嘴と奇妙な翼を持つこの巨獣はたまらなく私を引きつける。彼らは様々な習性を持つ亜種が存在しており、一つの生態系とも言えるほどの広がりを持っている。この島の各地の棲息しておりおおむね穏やかな性格だが中には凶暴な性格の種もいるようだ。フロッゲンと呼ばれる怪獣とは敵対関係にあるようで熾烈な闘争がしばしば目撃される。空を飛べるかは不明だが体と翼の比率では不可能だろう、しかし私は最初にこの島に降り立った時、空に向かって飛び立つパボラスを確かに目撃した。あれは幻だったのであろうか。

「アバロン島探険譚」第一章四十三項より



モアイロボ

アバロン島に上陸した者は各所に無数に存在する巨顔遺跡を目にするだろう。これらの巨顔遺跡は形状やサイズなど様々な形が存在すようだが一様に頭部だけを出した常態で土に埋まっている。しかし一定の刺激を与えるとなんと覚醒し穴から這い出して動き回るのだ。これは一体どういう事だろうか。このような建造物は現在の技術でも作り出せはしない。どうやらかつてこの島に住んでいた人々は信じられないほど高度な技術を持っていたのだろう。怪獣から自らを護るために製造したのだろうか、それともこの島自体を外界から護るためなのか。彼らがいなくなった今謎だけが残った。最近では誤作動のためかモアイロボ同士の殴り合いを良く目にする。

「アバロン島探険譚」第十五章三項より


フロッゲン

フロッゲンはカエルのような頭部と四本の腕を持つ異形の怪獣だ。かなりの数棲息しており様々な生態をもつ亜種が多数目撃されている。特徴はホホにある袋で非常時にはこれを膨らまして威嚇すようだ。また水中では浮き袋としても活用するらしい。パボラスと島を二分する程の勢力を持っておりこの二つの種族はつねに敵対している。
また鳴き声が非常にうるさく雨がふると地面が震えるほどゲーゲーという奇声がこだまする、はた迷惑な怪獣だ。

「アバロン島探険譚」第三十五章六項より


エレファオン

このアバロン島では時に山が動く事がある。それは恐らくエレファオンだ。このあまりに巨大な灰色の怪物は普段全く動くことはない。ゆえにその体にはコケや植物が生え茂り何時しか山のようになってしまうのだ。普段彼らはその長い鼻を地中に伸ばし地下に眠る何らかの成分を摂取して生きているようだ。その捕食活動は数年間にもおよびその間、彼らは一切動く事はない。しかしその地域の成分を吸いきると彼らは新たな餌場を求めて動き始める。まったく不意に山が動くのだ。この様子をガンボ族は「神ののど仏」よび目撃した者は生涯幸運に恵まれると語り継いでいる。私も是非目撃したいものだ。

「アバロン島探険譚」第五十五章三十七項より


バッファゴート

地面を揺らしながら黒い波が草原を走り抜ける。アマゾンの大海嘯か?いやよく見てみたまえあれは巨大な獣だ。巨大な獣の群れが草原をかけているのだ。その獣の名はバッファゴート。この島ではよく見ることの出来る穏やかな草食獣だ。ただ年に二回だけ彼らは豹変する。広大な平原の草を食べ尽くした彼らは別の平原を目指し移動を開始するのだ。
この時バッファゴート達は狂気的に興奮し立ちふさがる全ての物をなぎ倒すのだ。その時ばかりは普段彼らを主食としている獰猛な怪獣達も決して近づく事はないという。

「アバロン島探険譚」第四十章七項より


シェルスター

海の悪魔シェルスター。私はこれほど危険な怪物を知らない。縄張り意識の非常に強い彼らは縄張りに少しでも近づく物があるとその巨大な爪で容赦なく粉砕する。しかも体は硬い殻に覆われているためどんな船の大砲さえ物ともしないのだ。このアバロン島が長らく発見されなかったのは濃い霧とシェルスターがこの海域を守っているからだ。
私たちが上陸するときに彼らに出会わなかったのは幸運だったと言えよう。

「アバロン島探険譚」第二章三項より


オクタンダ

海の悪魔がシェルスターだとすればオクタンダは海の女神と言えよう。何故なら彼らはシェルスターを主食とする唯一の生物だからだ。普段浜辺でノンビリと日光浴をしている彼らだが一度海に入ると恐るべきその本性を現す、頭部に無数に生えた髭は触手としてどんな物にも巻き付き引きはがす。凶悪なシェルスターもオクタンダに捕まると為す術無く食べつくさられてしまう。全くもって恐るべき怪獣だが幸いな事にシェルスター以外全く興味がないので他の生物には一切手を出さない。私たちがアバロン島にやって来た時も無事この危険な海域を進めたのは海底ではオクタンダとシェルスターの死闘が繰り広げられていたせいのかもしれない。しかし他の物は一切興味が無くなるほどシェルスターが美味なのだろうか。私も一度食してみたいものだ。

「アバロン島探険譚」第二章十項より


エッグダック

キューキューという鳴き声が湖から聞こえて来る。この愛らしい鳴き声の主はエッグダックという怪獣だ。アヒルのような嘴と卵形の目を持つことからエッグダックと名付けた。この広大な湖はどうやら彼らが作ったようだ。エッグダックは最初に池の中心に巣を作る、そして木を使って水をせき止める。すると池はドンドン大きくなりやがて広大な湖になる。もちろんダムも池の成長にあわせ拡張することを忘れない。しかし不思議なのは何故ダムを作るのかだ。しかもこのダムは力学的に計算されつくした見事なアーチと美意識さえ感じる装飾物さえ作っているのだ。ガンボ族は彼らを「森の大工」と呼んでいる。もしかしたらこの島にかつて住んでいた超文明を持つ古代人がダムを建造するために生み出した生物がこのエッグダックだったのかも知れない。そんな夢想もあながち嘘とは思えないほど見事なダムが今も拡張を続けている。

「アバロン島探険譚」第六十二章四十項より


モーファ

アバロン島の中心そびえるガガドール火山。この広大な永久凍土を持つ山に棲息するのがモーファだ。彼らの生態は全く謎だ。何故なら生息環境が厳しすぎるためガンボ族でさえ滅多に足を踏み入れないのだ。我等が調査のためガガドール火山を登ったときも巨大な足跡と絡まった長い毛しか発見できずにいた。調査が難航し疲れ果てた探検隊が下山を開始したその時轟音が山にこだました。雪崩だ、巨大な雪崩が発生したのだ。私は死を悟ったその時地面が盛り上がり壁になって雪崩を食い止めたのだ。それがモーファだった。我々を助けてくれたのか、ただの気まぐれか。そのままモーファは唖然とする我々を残して何事も無かったかのように頂上の方に消えて行った。ガンボ族の伝承でもモーファが山で遭難した人を救ったという話は沢山あるそうだ。今その伝承がまた一つ増えた事になる。心優しき怪獣モーファ、彼に幸あらん事を。

 「アバロン島探険譚」第六章十五項より


ギガマウス

あまりに巨大な口に水牛の角のような牙をもつ獣ギガマウス。この巨獣はその牙で木々をなぎ倒しそのクワのような口で土をすくって食べる。どうやら土の中のミミズや虫などを食べているようだ、そして消化出来ない大量の土を尻から放出する。しかしこの土はギガマウス胃液と混ざることで逆に養分を増しその後には沢山の草木が育つと言う。森の循環に一役買っているのだ。その様は畑を耕す機械のようでこの怪獣は古代人が開墾のために生み出したという噂もあながち嘘とは言えない気がしてくる。

「アバロン島探険譚」第三十二章九十項より


フォースヘッド

本当に奇妙な乗り物だ。大きな顔に二本直接足が生えている。しかしフォースヘッドは今や探検隊の足としてなくてはならない物だ。この奇妙な動物はガンボ族の足として使われている。高度な知能を持ち乗り手の指示に従順に対応し力が強く数百ポンドの荷物も難なく運ぶ。さらに急斜面や荒い岩場もものともしない。まさにこの島の馬としてとても重宝する獣だ。しかし何故これほど都合の良い生物が存在しているのだろうか?ガンボ族は家畜を持たないので品種改良で生まれたとは考えられない。ガンボ族の口頭伝承では彼らは昔人間で神の罰で乗り物になったという話がある。このことからある恐ろしい説が浮かび上がる、彼らは古代人がその高度な技術を使って奴隷から作り出した生き物ものなのではないかという説だ。彼らの瞳が何時も悲しそうに潤んでいるのはそのせいなのかも知れない。

「アバロン島探険譚」第四十章八項より


タートロン

分厚い甲羅に覆われた岩のような生き物タートロン。彼らはカメのように穏やかに草や果物を食べる安全な怪獣だ。しかし彼らを怒らせるととんでもない目に遭うだろう。
彼らの手には管が通っていてそこには体内で生み出されるメタンガスのような物質が送られる構造になっている、そのガスに岩のような腕をこすり合わせて引火させ、巨大な炎を指先から放出させることが出来るのだ。その爆炎は100フィートにも達するという。本来この炎は植物などを焼いて柔らかくして食べるときに使うようだが恐るべき武器にもなるのだ。よく森の中で不意に焼け野原に出くわす事がある、それはタートロンが怒り狂った跡なのだ。

「アバロン島探険譚」第十六章二項より


ウルガン

ウルガンはアバロン島の森でもっとも危険な怪獣だ。巨大な爪と牙を持つこの肉食獣は他の怪獣を襲って食べる事しか考えていない。生まれついて殺戮者だ。彼らにかかれば人間などはその爪で一瞬のうちにバラバラにされてしまうだろう。集団で狩りをすることも得意な彼らはパボラスやフロッゲンなどより巨大な怪獣には集団で攻撃をくわえ倒し捕食する。跡には骨も残らないと言う。もし森で彼らの遠吠えを聞いたら真っ先に逃げるべきだ、たとえすでに手遅れだとしても。

「アバロン島探険譚」第七十章十二項より


シープモンキー

森の奥で白い怪獣を見かける事がある、シープモンキーだ。彼ら何時も甲高い笑い声と共に現れ踊るように森の奧に消えてしまう。時に人と同じような声を発して人を惑わせる。彼らの声を人と間違えて追っていき遭難してしまうことも多い。逆に森で迷っているときシープモンキーの声について行って助かったと言うこともあるそうだ。彼らの目的はなんであろうか?森のトリックスターシープモンキー、謎多き怪獣だ。

「アバロン島探険譚」第十七章二項より



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